セールスと詐欺師
どんでん返しのどんでん返し、更にそのどんでん返しのストーリーは観ていて爽快で面白い。
1970年代にポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの共演作『スティング』はそんな映画でした。
1967年生まれの私はもちろんテレビ放映でしか観たことありませんが、あまりにも印象強く、大人になってからも「DVD」を買って、何度も観たものです。
最近では、『コンフィデンスマン jp』が何回観ても爽快で面白い。
こちらは、若い方でも知っている人は多いかと思います。
長澤まさみさん主演のドラマ(映画化は現在上映中のもので3作目)ですね。
『スティング』も『コンフィデンスマン jp』も大掛かりな詐欺師集団で、どちらもギャングやヤクザなど反社会的勢力を騙すから爽快で、詐欺と一言で片づけるのは失礼だと錯覚してしまうくらいです。
前置きは長くなりましたが、どちらの映画でも人を騙すのに共通しているのは、対象者がどんなことで琴線に触れるのかを事前に調査をしたり、関わっていくうちに相手の真のニードを掴んだりしていくのです。
誤解を恐れず言いますが、あくまでもスキル面では私はセールスと詐欺師は非常に近いものがあると常々お話ししています。
あくまでもスキルです。
私は20年近くも前に『ヤクザの実践心理術~なぜ彼らの言いなりになってしまうのか~・向田匡史著(ワニ文庫)』という本を書店で見つけて買って読んだことがあります(笑)
誤解のないようにお伝えしますが、私は反社会的勢力を擁護しているわけではありません。
何故その本を手に取ってしまったのかというと、本の帯にこう書いてあったのです。
「現代ビジネスマンが驚嘆した禁断のパフォーマンス!!ベストセラー待望の文庫化!!」
つまり、ビジネスマン向けに書かれた本なんです。
目次を抜粋すると、
・「劣勢」を「優勢」に転じる摺り替えの理論
・イエス、ノーで答えられない質問で、相手を追い込む
・ヤクザは相手の態度で本心を見抜く
などなど。
以前にテレビのニュースで『電話詐欺』の手口は、一瞬で相手のニードに入り込むことだと言っていました。
くどいようですが、私たちセールスが詐欺師から盗めることは、一部のスキルだけなのです。
セールスと詐欺師の決定的な違いは、お金を払ってくれた人にその対価に相応しいだけの物やサービスを提供するかどうかです。
当然のことながら、私たちセールスは人を騙して販売することは許されません。
社会に役に立っているという自覚が必要ですし、そのために何が社会貢献なのかという永遠の課題に常に向き合う必要があります。
しかしながら、綺麗ごとだけでは結果は出ません。相手を引き付けるテクニックや、相手を聴く姿勢にするテクニック、その他もっと聞いてみたいと思わせるテクニックも必要です。
ただ、「思い」「理念」「信条」「哲学」などという土台の上に「スキル」を生かすから、顧客に喜ばれ、そして私たちもやり甲斐に変わるのです。
セールスという仕事に就いた以上、学ぶべきことは色々ありますね。