効果的なクロージングの条件
見顧客の購買心理の変化に合わせて商談を進めると、クロージングは思いのほか簡単です。
購買心理が「欲求」に変わったら、「決断」をするように促します。
この「決断」を促すのがクロージングです。
クロージングのタイミングは、見込客がこの「決断」に悩み始めたときのみ有効で、
それ以外のタイミングでクロージングをすると、
セールスが強引に「決断」を迫るような押し売りに見えますので、見込客は逃げていきます。
そして、最も効果的なクロージングは「沈黙」です。
本当に見込客が決断に悩んでいたら、「沈黙」は見込客から話し始めるという効果が現れます。
それは「ネガティブな発言」も多いかもしれません。
しかし、本気で悩んでいる見込客から発する「ネガティブな発言」は、
実は「ポジティブな質問」であることも少なくありません。
場合によっては、見込客が自分で自分にクロージングをすることもあるでしょう。
見込客は決断に迷っているだけで、「この契約は自分のためになる」とわかっていれば、
「この提案はあなたのためです」と言われると鬱陶しくなるかもしれません。
今から約22年前に生命保険の仕事を始めたばかりの私は、いつも見込み客に向かって、
「この保険を勧めるのは、あなたとあなたの家族のために言っているのです。」
とよく言っていたのです。
それは、断られるのが不安で、「沈黙」に耐えきれなかったからなのだと思います。
結局は自分の価値を押し付ける「お願い」のクロージングをしていたのかもしれません。
もし「お願い」のクロージングをするのならば、
「あなたのため」ではなく、堂々と「私の成績のため」だというべきです。
但し、これが許されるのは、見込客が既に『この提案が見込客自身のため』だという「判断」が出来ていて、
かつ「決断」に迷っている状態であることが条件です。
更に、もう一つの条件は、見込客が『そのセールスを応援したいという気持ち(最低でも好感を持たれている状態)』があって成立します。
ですから、セールスが「自身の成長」を目的に仕事をしているかどうかが重要です。
「生活の安定」や「損得」で仕事をする人は誰も応援してくれません。
自分の成長のためや、自分の人生を豊かにするために一生懸命目標達成しようとする姿は応援者を作ります。
たった1人の応援者は、必ずもう1人の応援者を連れてきます。
そうしたら、必ずその人から新たな世界が広がるのです。
自分の取るべき行動に迷った時は、その行動が、
自分の利益のための行動か?それとも、自分を成長させるための行動か?
そして、それは見込客の利益になるのか?
そう考えれば答えは簡単です。
効果的なクロージングのチャンスは、『自分を成長させるために行動している人』が『見込客の利益のために行う商談プロセス』に訪れます。