紹介入手に遠慮は危険
最近、「紹介依頼をしても、その場で紹介が出ない。今紹介をくださいの一言が言えない。」どうしたらいいか、という相談が多いです。
なぜ言えないのか?
理由は、嫌われるのが恐いのだそうです。
以前、あるクレジット会社の営業の方が、私の所に営業に来ました。
私は既にそのクレジット会社と契約をしていたので、用件は売り込みではなく、紹介依頼でした。
もちろん、初めてお会いしたので、いきなり紹介依頼をしてきたわけではありません。
まずは、自分がどんな思いでどんなスタイルで仕事をしているかを話してくれました。
感じの良い営業さんだったので、すぐに私は打ち解けました。
そして、帰り際に紹介依頼をしてきたので、私は「考えておきますね。また遊びに来てください。」と言って別れました。
その人が帰った数時間後に、その人に紹介してもいいと思える人と会いました。
今度来たら紹介してあげようと思ったのです。
残念ながら、その人から連絡はありませんでした。
当然、人間関係が出来ていないその人に、私から連絡することはありません。
それから何度かその人に紹介してもいいと思える人と出会いましたが、いまだ連絡がありません。
その人に紹介したらきっと喜ぶだろうと思っているのに、とても残念です。
多くの人が人間関係作りに勘違いがあるように思います。
ただ仲良くなるだけでは、いつまでたっても「紹介をください」と切り出せなくなります。
最初から相手に「紹介が欲しいと思っている営業である」という事を知ってもらい、それから人間関係を作ることが大事なのではないかと常々感じます。
紹介をもらうのに、相手のメリット(見返り)など考える必要はありません。
何をして欲しいのかをきちんと伝えた上で、仲良くなって、信頼関係を築き上げれば、その人は営業が喜んでくれることを純粋にしてくれるのだと思います。
「配慮はしても、遠慮はするな」と昔上司から教わりました。
「遠慮」とは言動を控えること。言いたいことも控えて、行動も後ろ向き。
これでは相手には思いは伝わらないし、いつまでたっても心は開いてもらえません。
「遠慮」をしては商売にならないことはよくわかります。
「遠慮」とは遠くを慮る(おもんぱかる)こと、目先のことに惑わされず、将来のことをよく考えることが本来の意味であったそうです。
「遠慮なければ近憂あり」という言葉があります。
これは、「目先のことばかり考えていると、近い将来必ず心配事が起きる」という意味です。
日本人は、この「遠慮」という考えを重んじてきました。しかし、これは元々「自分の目先の利益ばかり考えないで他人を慮る」ことで、「配慮」に近い意味なのだとも考えられます。
人間関係が出来ているのに、嫌われることを恐れて遠慮をしてしまうのは、自分の利益しか考えていないからであり、そんなタイミングに恐る恐る発する一言はクロージングではありません。単なる押し売りです。
相手を慮る配慮があれば、タイミングは自ずとわかり、勇気も湧くのではないでしょうか。
やはり、「配慮はしても遠慮はしてはいけない」のだと思います。