夢を見るということ
美大に通っていた私の息子がある日突然漫画家になりたいと言い出して、美大を中退してしまったのですが、漫画家として成功出来る確率は0.003%なんだそうです。
親父としては、息子を心配してしまう反面、「親父のせいで夢を諦めた」と後々言われたくないので黙って中退を認め、一応は応援している次第なのです。
しかし、振り返ってみると、私も今から22年前に保険業界に転職したときは、多くの人に反対されました。
「絶対に上手くいかない」
「確率的に失敗する人の方が多い」
「保険屋になって、売れなくて鬱になった人を知っている」
などなど、殆どがネガティブな情報でした。
もちろん、当時は妻や両親からも反対されました。
だいぶ前ですが、漫画家になりたくて、親の反対を押し切って東京に出てくるある女のこの物語がありました。
母親は娘を思うあまり「漫画家になりたい人なんか、いっぱいいる。そんな競争の中で、あんたがやっていけるわけがない」と大泣きしながら引き留めようとしますが、娘は反論します。
「お母ちゃん、漫画の世界は競争の世界やない。夢の世界や。私は夢の種を手に入れたんや。」
一方で、おじいちゃんは、孫の東京行きに賛成し、心配する彼女の父にこう言います。
「この歳になるとな、先が分かる。先が分からんというのは、最高に贅沢な気がする。夢は見てるだけで贅沢や。」
「かなわなくてもか?」と父の質問に対しておじいちゃんは
「ああ。その時間がいい。夢見てる時間だけでも元取れるな。」
と答えます。
いい話だなあと、今でも覚えています。
私は以前、ヘッドハンティング(スカウト)の仕事を通じて、夢の種を掴む人と、掴まない人をそれぞれたくさん見てきました。
本当の意味での贅沢に過ごせる人は、夢という「未来」を見て、行動という「今」を大切にします。
だから、今決断すべきことや、今やるべきことを知っています。
そして、何も恐れず動き続けます。
一方、環境に振り回されて、いつも愚痴ばかり言う人は、夢という「未来」を恐れ、行動という「今」から目を背け、なかなか決断をしません。いつも恐れているので、思考や行動を止めてしまうこともしばしばです。
夢はただ見るだけではいけません。
未来をみて、今この瞬間瞬間を夢中になって行動に移し続けているか。
たとえその夢がかなわなくても、たとえ夢が途中で変わっても、次の行動に移す勇気と決断、そして常に行動し続けることが最終的に自分にとって贅沢な人生を送れるのかもしれません。
ワクワクと未来を見て、動き続けていればきっといいことがあると私は信じます。
私自身が今何をしたいのか?
どうなりたいのか?
改めて自分と対話をし、ワクワクして生きていこうと思います。